摂食障害わが子に動画を勧めても見てくれないのはなぜ?

「見せたい動画があるのに、見てくれないんです」
拒食のお子さんを持つお母さんから、最近こんなお声をたくさんいただいています。
そしてもうひとつ、よく届く言葉があります。
「過食以外の対応を教えてください」
――もしかしたら、あなたも同じ気持ちを、今まさに抱えていませんか?
👩「うちの子は拒食で……過食の話が中心のブログや本を読んでも、なんだか自分たちには関係ない気がしてしまって。結局、どうしたらいいのか分からないままなんです」

その気持ち、とてもお辛いことと思います。
はじめまして、大橋ともと申します。公認心理師として、摂食症・トラウマ・愛着を専門にお伝えしています。そして私自身、25年にわたって摂食障害と向き合ってきた当事者でもあります。食べられなくなる時期も、止まらなくなる時期も、その両方をくぐり抜けてきました。
だからこそ、今日はこの4つをお伝えしますね!
📌 この記事でわかること
過食と拒食は、まったく別の対応が必要なのでしょうか?
実は、全く別とはいえません。
症状として現れる形は正反対に見えても、その土台にあるものは「共通しているところが多い」からです。ここから、一緒に見ていきますね。
① 拒食は「青モード」から起きている
私は普段、心と体の状態を赤・緑・青の3つのモードでお伝えしています。ポリヴェーガル理論をもとにした、心身の安心感を見分けるためのものさしです。
🔴 赤モード:イライラ・不安・過食など、心がアクセル全開になっている状態
🟢 緑モード:安心して人とつながれる、コミュニケーションが一番うまくいく状態
🔵 青モード:心も体もシャットダウンし、閉じてしまう状態
――拒食は、多くの場合この青モードから起きています
過食のお子さんが「赤モード」で外に向かって噴き出しているとしたら、拒食のお子さんは「青モード」で内側に閉じこもっている。
方向は真逆に見えても、根っこにあるのは同じなんです。
過食も拒食も、実は同じことが起きています。
「体と心が、安全を感じられていない」
そのつらさを、
・食べ過ぎることで一時的に和らげようとするか(過食)
・食べないことで、苦しさを遮断させようとするか(拒食)
――その違いだけで、精一杯対処しているのが摂食障害なんですね。
🚗 ひとことで言うと――
アクセル全開(赤)も、エンジン停止(青)も、「今、安全に走れていません」という同じ警告灯。
必要なのは「どう動かすか」ではなく、「どうすれば安心して走れる状態に戻れるか」という、共通の問いなんです。
② 「見せても見てくれない」の本当の理由
Bさんは高校1年生。1年ほど前から食事量が減り、ご家族が「参考になるから」と動画や本を見せようとするたびに、かえってかたくなに拒むようになりました。
お母さんは「良かれと思ってしていることが、なぜ拒否されるのか」と、深く傷ついていました。
その気持ち、痛いほどわかります。
拒食のお子さんの内側で、実は起きていること
・拒食は、外からの食べ物や栄養を「取り入れること」そのものを拒否している状態
・取り入れようとすると、苦しくなってしまう
・すでに自分自身の苦しさで、心がいっぱいいっぱいになっている
・だから栄養であっても、情報であっても、外から取り入れること自体が苦しい
どんなに正しい情報でも、役に立つ内容でも、優しく穏やかな伝え方でも――
「外から何かを取り入れる」ということ自体が、拒食のお子さんには苦しく感じられやすいんです。
食事の場面で経験してきたのと、同じことが情報を受け取る場面でも起きています。
――こう聞くと、「じゃあどうしたらいいの!?」「何をしても拒否されるということ?」と感じてしまうかもしれませんよね。
でも、ご安心ください。
食べ物も、アドバイスも、正しい情報も拒否しているお子さんが、心と体を緩めて「受け取れるようになる」関わり方は、たくさんあります。
👩「拒食のわが子が、少し食べるようになりました」
👩「拒食の娘が、揚げ物を食べられるようになりました」
実際に、親子過食卒業レッスンを受講中のお母様方からも、関わり方を練習することで、このようなお声をいただいています(個人差はあります)。
困った子ではありません。困っている子なのです。
だからこそまず大切なのは、お子さんが何を苦しく感じていて、どうすれば無理なく受け取りやすくなるのかを、知識として知ることです。
この「受け取り方」そのものへの理解は、体験セミナーや個別相談でも、お子さんの状態に合わせて、より詳しくお伝えしています。
③ 今日からできる、3つの向き合い方
✅ ①「見せる」より前に、青モードのサインに気づいてあげる
口数が減る、目を合わせなくなる、部屋にこもる――それは反抗ではなく、心のシャットダウンのサインです。「今、閉じているな」と気づいてあげることが、何よりの第一歩になります。
✅ ②情報を届けることを一旦手放して、「聴く」を優先する
「聴く」とは、耳だけでなく目と心でも聴くこと。見せる・伝えるより先に、キャッチャー役に徹してみてください。それだけで、閉じていた扉が少しずつゆるむことがあります。
✅ ③Iメッセージで伝える
「見てほしい」ではなく「私はこの動画を見て、あなたのことをもっと理解したいと思った」と、自分を主語にして伝えてみましょう。否定ではなく要望として届けると、受け取られ方がぐっと変わります。
💭 私自身、閉じていた時期に一番救われたのは、「変えようとされないこと」でした。何もしないでいてくれる人がいる、それだけで、少しずつ息ができるようになっていったんです。
④ 過食も拒食も、行き先は同じ
「過食以外の対応」という言葉の奥には、”自分の子のケースは対象外なのかもしれない”という不安が隠れていることが多いように感じます。
でも、安心してください。そうではありません。
摂食障害は、拒食 → 過食 → 過食嘔吐へと、症状のかたちが移行・スライドすることが少なくありません。同じお子さんの中でも、時期によって現れ方が変わっていきます。
だからこそ大切なのは、次の2段階で理解すること――
STEP1|なぜ食べられなくなるのか、なぜ食べすぎてしまうのか――摂食障害に共通する土台の仕組みを知る
STEP2|拒食・過食・過食嘔吐、それぞれの症状に合わせた対応方法を学ぶ
この二段階で進めていくことが、回復を支える大きな力になります。
愛着・トラウマ・ポリヴェーガル理論という土台は、赤モードにも青モードにも、同じように使えるものなんです。
涙も、不安も、焦りも、自分を責める気持ちも。
拒食のお子さんを持つお母さんが抱えているものは、過食の場合と何も変わりません。
ひとりで抱えなくて、大丈夫です。
■ この記事についての大切なお知らせ
本記事は、公認心理師である大橋ともが、専門知識と25年間の当事者経験に基づいてお伝えするものであり、医学的な診断・治療を目的としたものではありません。症状の程度や背景は人によって大きく異なります。実際の治療・診断については、医師などの専門機関にご相談ください。
大橋とも/公認心理師。MBRP(マインドフルに基づく依存症の再発予防プログラム)講師資格、SE(ソマティックエクスペリエンシング)上級1修了、AEDPレベル1セラピスト、BCT(ボディコネクトセラピー)コアスキル修了。25年間の摂食症経験を経て回復し、現在は「親子過食卒業レッスン」を主宰。著書『わが子が摂食障害になったら読む本』(ビジネス社)。
情報を「知る」だけでは、変わらないことがあります
ここまで読んで、「なるほど」と思っていただけたかもしれません。でも、正直にお伝えします。
知識として知ることと、目の前のわが子に実際にあてはめることの間には、大きな距離があるんです。
⚠️ 距離を詰めすぎると……青モードをさらに深めてしまう
⚠️ 「見守ろう」と距離を取りすぎると……孤独を強めてしまう
どちらも、愛情から出た選択であるにもかかわらず、です。
我流での試行錯誤を重ねるうちに、お子さんとの関係がこじれ、修復により多くの時間がかかってしまうケースを、私はこれまでたくさん見てきました。
だからこそ、早い段階で「今、この子はどのモードにいて、何を必要としているのか」を、専門家と一緒に整理する場を持っていただきたいんです。
「うちの子は拒食だから、この考え方が本当に合っているのか、自分だけでは判断がつかない」
そう感じた、あなたへ。
ここまで読んでくださったあなたは、もう十分に「知識」を手に入れました。
でも本当に必要なのは、その知識を「あなたの、あなたのお子さんのケース」にどうあてはめるか、という一点だと思うんです。
それは、本やブログだけでは、どうしても届かない部分です。
こんなふうに感じていませんか?
☑ このままの関わり方でいいのか、正直自信がない
☑ 良かれと思ってやったことが、逆効果になっていないか不安
☑ 家族や周りに「拒食のつらさ」をわかってもらえず、孤独を感じている
☑ このまま何もしないで、悪化してしまわないか怖い
ひとつでも当てはまったなら――
ぜひ親子過食卒業レッスン体験セミナーの場で、一度お話ししませんか?用意しているのは、次の2ステップです。
STEP1|体験セミナー(グループ)
拒食・過食・過食嘔吐、どの症状にも共通する「摂食障害の基礎的な仕組み」を学びます。同じように悩む他のお母さんと一緒に受けられるので、「自分だけじゃなかった」と感じられる場でもあります。
STEP2|個別相談(別日・1対1)
セミナーで学んだ基礎をふまえ、あなたのお子さんの状況に合わせた対応を、1対1でじっくり相談できます。ご家庭ごとの事情に配慮しながら、安心して話せる場です。
【体験セミナーに参加すると得られること】
✅ 「土台」がわかる――なぜ食べられなくなるのか、なぜ食べすぎてしまうのか。症状に振り回される前に、共通の仕組みを理解できます
✅ 「見立て」がつく――今のお子さんが赤・緑・青のどのモードにいるか、個別相談で専門家と一緒に整理できます
✅ 「距離感」がわかる――「関わりすぎ/関わらなすぎ」、ちょうど良いさじ加減がご家庭の状況に合わせて具体的に見えてきます
✅ 「遠回り」をしなくて済む――我流で試してこじらせてしまう前に、次の一手を専門家と一緒に確認できます
✅ 「孤独感」から解放される――25年間の当事者経験を持つ心理師が話を聴くので、「分かってもらえない」というつらさを、まずここで手放せます
「動画を見せる」「本を読ませる」といった間接的な働きかけの前に、まずお母さん自身が「今、何をすればいいか」を明確に持てること――
それが、お子さんとの関係を変える、一番の近道になります。
ひとりで抱え込む時間を、今日で終わらせませんか。
今回お話しした「3つのモード」や「聴く」の具体的な方法については、著書『わが子が摂食障害になったら読む本』でも、拒食・過食どちらのケースにも触れながら詳しく書いています。あわせて参考にしていただけたら嬉しいです。

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