摂食障害の子どもの本音を引き出す聴き方|プロの記者・アナウンサーに学ぶ会話術

先日、ラジオに出演させていただいた際、キャスターの丸山裕理さんとお話しする中で、忘れられない発見がありました。
それは、「初対面の相手から、どうやって本音を引き出すのか」という、プロならではの聴き方です。
実はこの数か月、新聞社の記者の方やラジオのアナウンサーの方から、実際に取材やインタビューを受ける機会が続いていました。読売新聞オンラインや婦人公論JPでの掲載、そして今回のラジオ出演。専門家としてお話しする側ではなく、「話を聴かれる側」に回ってみて、たくさんのことに気づかされたのです。
「プロの記者やアナウンサーは、いったいどうやって相手の話を引き出しているんだろう?」収録の合間や取材の後、そんな問いがずっと頭に残っていました。そして気づいたのです。ただ質問をしているだけではなかった、と。
①「えっ、今の質問、そこを聞くんだ」という驚き
相手がふと口にした言葉の、どこに注目するのか。そこから、どんな問いを重ねていくのか。どうすると、相手自身もまだ言葉にできていなかった思いや、その人らしい言葉が自然に出てくるのか。
実際に私が”インタビューを受ける側”になってみて、
「なるほど!こんな風に聞くんだ」
「なるほど、だからこんなに話しやすいんだ」
「こんな聴き方があるんだ」
と、驚きと発見の連続でした。こちらが何気なく口にした一言を、聞き流さずにそっと拾い上げて、次の質問につなげてくださる瞬間。答えに詰まった沈黙をすぐに埋めようとせず、こちらが言葉を探す時間をじっと待ってくださる間。要約して分かったふりをするのではなく、あえて「それは、どういうことですか?」ともう一歩踏み込んで聞いてくださる姿勢。そのひとつひとつに、「聴くこと」に対するプロならではのこだわりが表れていました。
心理職として学んできた傾聴やオープンクエスチョンの技法とも重なる部分はありながら、質問を重ねる順番、間の取り方、相手の言葉をどこまで”言い換えずに”そのまま受け取るか、といった細部には、カウンセリングの現場ではあまり意識してこなかった視点がたくさんありました。これまで私がお伝えしてきたカウンセリングや心理学の「聴き方」と、メディアのプロの「聴き方」には、共通点がありながらもまったく違う技術や視点があったのです。この違いを知ると、聴き方の引き出しが一気に増えます。
②プロの「聴く力」は、お子さんとの対話にも活きる
公認心理師として、また「親子過食卒業レッスン」のグループ講座や個別セッションを通して25年以上の当事者経験と専門性の両方からご家族と関わってきて、いつも感じるのは「聴いているつもりなのに、本音が出てこない」というお悩みの多さです。
お子さんに「今日はどうだった?」と聞いても、返ってくるのは「別に」の一言だけ。話してほしいのに、聞けば聞くほど心を閉ざされてしまう。沈黙が怖くて、つい何か言葉を足してしまい、気づけばこちらが話しすぎている。良かれと思ってかけたアドバイスが、かえって「もう話したくない」という空気をつくってしまう。そんなご経験のある方も、多いのではないでしょうか。
過食や拒食といった摂食障害の背景には、多くの場合、「本音を言っても安心できる場所がない」という感覚があります。だからこそ、正しいことを言うかどうかよりも、親御さんの「聴き方」そのものが、お子さんの回復にとって大きな意味を持ちます。
今回、記者やアナウンサーの方々との実際のやり取りを通して見えてきたのは、「答えを急がず、相手の言葉の奥にあるものに寄り添う」という、家族の対話にもそのまま応用できる技術でした。言葉だけでなく、表情や間、声の変化から「今、この人の中で何が起きているのか」に気づく力は、専門的な傾聴のトレーニングとも重なりながら、もっと実践的で、もっと日常で使いやすいものだったのです。
③「聴き方」ひとつで、親子の空気は変わる
心理学の世界では、人が安心して本音を話せるためには「安全基地」と呼ばれる土台が必要だといわれています(愛着理論)。この安全基地があってはじめて、人は不安なことや弱さを見せても大丈夫だと感じられるようになります。また、NVC(非暴力コミュニケーション)では、相手の言葉の奥にある「本当の気持ち」や「大切にしたいこと」に耳を澄ませることが、対話の質を大きく左右するとされています。
今回プロの聴き方に触れて改めて感じたのは、「知識として知っている」ことと「実際に体感として使いこなせる」ことの間には、大きな差があるということでした。質問の順番ひとつ、間の置き方ひとつで、相手が話してくれる深さがまったく変わってしまう。それを、頭ではなく体験として学べたことが、私にとって大きな収穫でした。
実際に、レッスンの受講生の方々からも、こんな声をいただくことがあります。
聴き方を変えただけで、子どもがぽつぽつ話してくれるようになった
アドバイスをぐっとこらえて聴くようにしたら、家の空気が柔らかくなった
小さな聴き方の変化が、親子の間の空気を確実に変えていく——それを、今回のプロの聴き方からの学びと重ねて、皆さんにもお届けしたいと思っています。
④8/26(水)10:00〜12:00「プロのアナウンサー直伝!本音を引き出す聴き方」講座
この気づきをそのままお蔵入りにするのはもったいないと思い、親子過食卒業レッスンのグループ講座の中で、特別ワークとしてお伝えすることにしました。
今回の内容は、他の講座では深く扱うことが難しく、この回だけの”特別枠”になる可能性が高い内容です。実際に私が受けた取材・インタビューの体験を材料にして、「こんな聴き方があるんだ!」と感じたことを、皆さんにもお伝えします。2時間の中では、実際の取材でのやり取りをもとにしたケースを一緒に振り返りながら、「なぜこの質問が効果的だったのか」「どこで相手の表情が変わったのか」を言語化していきます。知識として聞くだけでなく、ペアワークを通してご自身でも「聴く」「話す」の両方を体験していただく時間を大切にしています。
⑤この講座で、実際にできるようになること
- ✓初対面の相手とも、安心して話してもらえる関係性をつくるための「最初の一歩」がわかる
- ✓お子さんや家族との関わりの中で、相手が「この人なら話しても大丈夫」と感じられる聴き方・声のかけ方が身につく
- ✓相手の言葉の奥にある「本当に伝えたいこと」を自然に引き出す、質問の順番や会話の組み立て方がわかる
- ✓相手の反応を見ながら、「今は伝えるべきか」「今は聴くべきか」を判断できるようになる
- ✓お子さんへのアドバイスを急がず、相手自身が「どうしたいのか」「何を大切にしたいのか」に気づいていける関わり方ができる
- ✓お子さんが安心して本音を話せる場をつくり、「話しているうちに自分の答えが見えてきた」と感じてもらえるようになる
- ✓家族・職場でのコミュニケーションや、意見の違う相手との対話でも、必要以上にぶつからずに関係性を保ちながら話せるようになる
- ✓「何を話せばいいかわからない」「沈黙が怖い」という不安が減り、相手との時間を落ち着いて楽しめるようになる
- ✓短い関わりの中でも、「この人には安心して話せる」と思ってもらえる信頼関係をつくる力が身につく
⑥この講座は「親子過食卒業レッスン」受講生限定です
そこで、この講座で扱う内容の一部を、どなたでもご参加いただける場でも先取りしてお伝えすることにしました。
⑦8/26(水)20:00〜 出版記念セミナーで、一部を先出しします
同じ8/26(水)の夜に開催する、著書『わが子が摂食障害になったら読む本』の出版記念セミナーの中で、今回の「本音を引き出す聴き方」のエッセンスを、少しだけ体験していただける時間をつくります。
摂食障害の回復に必要なのは、正しい知識やアドバイスである以前に、「この人になら話してもいい」と思える安心感の土台です。その土台を、日々のちょっとした会話の中でどうつくっていけるのか。プロの聴き方から見えてきたヒントを、ぜひこの機会に感じていただけたらと思います。
なかなか記者やアナウンサーと実際にやり取りをして、その「聴き方」を体験する機会はありません。今回は私自身のリアルな体験をもとに、そこから見えてきたことを、当日皆さんにも少しだけお裾分けできればと思っています。
「わー、こんな講座もやっているんだ」「ちょっと覗いてみたい」——そう思っていただけたなら、まずはこのセミナーで、その扉を開いてみてください。当日お会いできるのを楽しみにしています。

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