夏休み、お子さんの摂食障害は悪化していませんか?夏だからこそ知っておきたい親の関わり方

夏休み、お子さんの摂食障害は悪化していませんか?夏だからこそ知っておきたい親の関わり方
「夏休みに入ってから、過食が増えました」
「逆に、ほとんど食べなくなってしまいました」
「生活リズムが崩れて、昼夜逆転しています」
毎年、この時期になると、このようなご相談をたくさんいただきます。
実は、夏休みは摂食障害のお子さんにとって、症状が落ち着くこともあれば、悪化することもある「変化の大きい季節」です。
この記事では、公認心理師として多くの摂食障害のご家族を支援してきた経験と、自身も25年以上摂食障害に苦しみ回復した当事者としての経験をもとに、夏休みに起こりやすい変化と、ご家族が知っておきたい関わり方についてお伝えします。

なぜ夏休みは摂食障害の症状が変化しやすいのでしょうか?
夏休みは、学校という大きな環境が変わります。
そのため、お子さんにとってはメリットもデメリットもあります。
夏休みのメリット|学校のストレスから解放される
- 学校へ行かなくていい
- 友達と比較しなくて済む
- 人間関係のストレスが減る
- 決められた時間に行動しなくていい
- 毎日の緊張から解放される
学校生活は、摂食障害のお子さんにとって大きな負荷になっていることがあります。
そのため、夏休みに入り、「少し表情が柔らかくなった」「過食が減った」「食事が少し安定した」という変化が見られることも珍しくありません。
また、不登校のお子さんの場合は、周りも夏休みになることで、
「自分だけ学校へ行けていない」
という罪悪感や焦りが軽くなり、心が少し休まることもあります。
夏休みのデメリット|生活リズムと刺激の変化
一方で、夏休みには注意したい変化もあります。
- 昼夜逆転しやすい
- 朝起きられなくなる
- 食事時間が不規則になる
- 活動量が大きく変わる
- 家に閉じこもる時間が増える
また、夏はイベントが多い季節です。
- 夏祭り
- 旅行
- 花火大会
- 海やプール
- 帰省
- 友達との外出
活動的なお子さんは予定が増え、反対に家で過ごすことが多いお子さんは、さらに家から出なくなることもあります。
どちらの場合も共通しているのは、「普段とは違う生活になる」ということです。
楽しい出来事のあとに過食や拒食が悪化することがあります
ここは、多くのご家族が驚かれるポイントです。
摂食障害のある方は、嫌な出来事だけではなく、楽しい出来事のあとにも症状が強くなることがあります。
例えば、
- 夏祭りのあとに過食が止まらなくなった
- 旅行から帰宅して食べられなくなった
- 友達と遊んだ翌日に寝込んでしまった
- イベントのあとに強い自己嫌悪が始まった
こうしたことは、決して珍しいことではありません。
なぜなら、人の心や身体は、「楽しいかどうか」ではなく、「変化がどれくらい大きかったか」にも影響を受けるからです。
予定が変わること、人と会うこと、疲れること、刺激が増えることは、自律神経や心身に大きな負荷を与えることがあります。
その結果として、過食や拒食、自傷、引きこもり、不眠などの症状が強くなる場合があります。
親が「食べさせよう」とするほど回復が遠のくこともあります
夏休みは家で過ごす時間が長くなるため、お子さんの食事が気になりやすくなります。
しかし、
「もっと食べなさい」
「そんなに食べないで」
「また食べたの?」
という声かけだけでは、摂食障害は改善しません。
摂食障害は、「食べ方」の問題ではなく、心・身体・脳のストレス反応が複雑に関係している病気だからです。
大切なのは、「食べた量」をコントロールすることではなく、お子さんが安心できる環境を少しずつ増やしていくことです。
夏休みは秋の新学期への準備期間でもあります
夏休みが終わると、新学期が始まります。
この時期になると、
- 学校へ行けるだろうか
- 友達に会えるだろうか
- また比較されるのではないか
- 勉強についていけるだろうか
といった不安が高まりやすくなります。
だからこそ、夏休みは「ただ休む期間」ではありません。
秋に向けて、お子さんが安心できる土台をつくる大切な時間でもあります。
この夏、親としてできること
- 生活リズムを完璧に戻そうと焦らない
- 食べる量より安心できているかを見る
- イベント後は疲れが出やすいことを理解する
- 「頑張れ」より「疲れたね」と寄り添う
- 症状ではなく、お子さん自身を見る
摂食障害は、「意志が弱いから」でも、「甘え」でもありません。
心と身体が一生懸命、生き延びようとしているサインです。
8月のセミナーで詳しくお伝えします
夏休みは、ご家族の関わり方を見直す大切なタイミングでもあります。
8月開催のセミナーでは、
- 夏休みに起こりやすい変化
- 過食・拒食への具体的な対応
- 秋の新学期へ向けた親の関わり方
- 家庭で今日から実践できるコミュニケーション
について、臨床経験と自身の回復経験をもとに、わかりやすくお話しします。

また、書籍『わが子が摂食障害になったら読む本』では、ご家庭で実践できる関わり方をより詳しく解説しています。
「このままで大丈夫なのだろうか」と一人で抱え込まず、この夏を、お子さんの回復の土台をつくる時間にしていただけたらと思います。
監修・執筆:大橋とも(公認心理師・元小学校教員)
25年以上にわたる自身の摂食障害(過食・過食嘔吐)の経験を経て回復。現在は、摂食障害のお子さんを支えるご家族への心理支援、講演、執筆活動を行っています。
この記事を読まれた方へ
※この記事は一般的な心理学・支援経験に基づく情報提供を目的としています。症状が急速に悪化している場合や、極端な低栄養、脱水、意識障害、自傷・自殺の危険がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。

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