NVCオンライントーク登壇報告|摂食障害・トラウマ経験者として「感情とニーズ」について伝えたこと

NVCオンライントーク登壇報告|摂食障害・トラウマ経験者として「感情とニーズ」について伝えたこと

7月15日夜、トラウマリカバリーカレッジ阿佐ヶ谷主催のオンライントークに登壇し、NVC(非暴力コミュニケーション/共感的コミュニケーション)のワークショップで得た気づきをお話ししました。本記事では、当日の会の内容と、私が伝えたかったことを活動報告としてお伝えしますね!

この記事でわかること

  • トラウマリカバリーカレッジ阿佐谷主催「NVCオンライントーク」がどんな会だったか
  • 摂食障害・アディクション経験者である大橋ともがNVCから得た気づき
  • 「感情」と「ニーズ」の関係についての体験的な理解
  • ※本記事は医療従事者による診断・治療情報ではなく、個人の体験に基づく活動報告です

どんな会だったのか|トラウマリカバリーカレッジ「NVCオンライントーク

今回のオンライントークは、トラウマリカバリーカレッジ阿佐ヶ谷が主催する「リカバリーカレッジ」の一環として開催されました。進行は水谷みつるさん、代表の白川美也子さん。長年NVCワークショップを担当されているトレーナーの龍村ゆかりさん(愛称:ルリラ)のもとで学んだ参加者6名が登壇し、座談会形式で語り合う構成でした。

参加者一人ひとりの語りが深く、結果として約3時間に及ぶ会となり、アーカイブも含めて約100名の方にご覧になるとのことです!

会の流れ

摂食障害、依存、自己否定感、家族関係など多様なテーマが語られましたが、共通していたのは「感情の奥にあるニーズ(自分が本当に大切にしたいこと)に気づくことで、自分自身や周囲との関係が変わった」という実感でした。


大橋ともが伝えたこと|感情は「ニーズが満たされているかのサイン」

私は摂食障害の当事者経験者であり、
トラウマ・アディクションを経験した一人として、

現在は当事者やご家族のサポートを行っています。
NVCとの出会いは、
自分自身の回復のためにマインドフルネスの講座に通っていた時期でした。

周囲で「NVCがいい」という声を何度も耳にし、
本を3冊読んだものの、

「頭では理解できても、どう実践すればいいのかわからない」という
もどかしさを感じていました。
そこから数年の月日が流れ、
トラウマリカバリーカレッジでNVC講座に2期参加し、
体験を通して学びを深めていきました。

NVCで印象に残ったこと:「感情」と「ニーズ」を大切にする姿勢

これまでも様々なコミュニケーション講座を学んできましたが、
NVCが私にとって特別だったのは、「感情」と「ニーズ」をとても大切に扱う点でした。


アディクション(依存)の状態にあると、
自分の感覚や感情に
うまく触れられなくなることがあります。


感情は怖いもの、よくわからないもの。
ニーズ(自分に必要なこと)は蓋をして感じないようにするもの

——その代わりに、食べることや痩せることなどで心の苦しさを和らげざるを得なかった時期が、私自身にもありました。

NVCを通して、感情は「ニーズが満たされているかどうかを知らせてくれるサイン」なのだと知ったとき、

感情への向き合い方が変わったんです!


感情を「圧倒されるもの」ではなく、
「自分に大切なことを知らせてくれるサイン」として捉え直せたことが、
大きな転機になったと感じています。

「目に見える評価」から「ニーズを満たす」への視点の変化

以前の私は、体重・仕事の成果・点数といった
「目に見えるもの」や、
人からの評価によって自分の価値を測っていました。

そこには常に
「まだ足りない」
「もっと頑張らなければ」という
満たされない感覚
があったんです。


そこからNVCの”ニーズという視点”で見ると、
どんな行動も、
「自分に必要なことを満たすための方法」
だったのだと気づけました。

例えば、食べることで、当時の私が満たしていたニーズは

・体の栄養を満たしたい
・苦しい感情をないことにして穏やかでいたい
・ストレスを解消をしたい
・ほっとしたい
・解放感を感じたい
・好き放題食べることで自由を感じたい
・(人に迷惑をかけずに)自分一人で解決できる力があると感じたい
・(たとえ一瞬だけでも)安心したい など。

だったんです。

痩せることで得ようとしていたニーズは

・自信をもちたい
・自分のことを”いい”と感じたい
・人から認められたい
・人から褒められたい
・達成したい などがありました。



症状や行動そのものを問題視するのではなく、
「本当は何が必要だったのだろう」と一緒に探っていく——

そうすることで、
自分自身との関係も、
サポートさせていただいている方々との関係も、
少しずつ和らいでいく感覚がありました。

「自信」の再定義:達成することから、自分を信じることへ

座談会の後半では、「自信」という言葉についても触れました。

以前の私は、「自信」とは何かを達成したときや、痩せたときに得られるものだと思っていました。

もっと頑張れば。
もっと成果を出せば。
もっと理想の体になれば。

そうすれば、自分には価値があると思える。
ずっとそう信じて生きていました。

でも、その考え方は摂食障害を悪化させました。

過食をやめたくても、一度食べ始めると止まらない。
「今日こそしない」と何度決意しても、夜になるとまた食べてしまう。

過食をやめたくても、一度食べると止まらなくなってしまう。
だから「自分の食欲を信じることができなく」なりました。


今日こそしない、と決心しても夜になると食べてしまうたび、
「自分の意志を信じることができなく」なりました。


自分の心も体も意志も思い通りにならない。
変えたくても変えられない。
どうしたらいいか分からない。
「自分の存在を信じることができなく」なりました。

でも、NVC(非暴力コミュニケーション)や
マインドフルネスや
SE(ソマティックエクスペリエンシング)などを学び、
自分自身のトラウマケアをすることで
私の「自信」の意味は大きく変わりました。

NVCを通して見えてきたのは、

・自分の感情があること。
・身体感覚があること。
・満たしたいニーズがあること。

それ自体を信じていい、という感覚です。

「悲しい」と感じる私も、
「怖い」と感じる私も、
「助けてほしい」と願う私も、

”あっていい。”


それらを一つひとつ受け止め続けた先にたどり着いたのは、

「自分は存在していていい」という、
もっと根本にある信頼
でした。


私の著書『わが子が摂食障害になったら読む本』にも書きましたが、

私が摂食障害を通して本当に欲しかったものは、
外から与えられる自信ではなかったんです。

「私は私を信じても大丈夫」

そう思える、自分への信頼だったのです。

そして今、私は思います。
過食も、拒食も、アルコールも、買い物も、ギャンブル、OD,リスカなど、も…。

さまざまなアディクションは、
その人が弱いからではなく、
耐え難い痛みを生き延びるためにそうせざるを得ない「痛み止め」です。

意志が弱いからではない。


だからこそ、

私が本当に作りたいのは、

「痛み止め(アディクション)がいらない世界」

誰もが、自分の感情や身体の声を安心して感じることができ、
「私はこのままで存在していい」と、つながりの中で感じられる世界です。

その世界を、一人ひとりとの出会いを通して、少しずつ広げていきたいと思っています。


よくある質問(FAQ)

Q. NVC(非暴力コミュニケーション)とは何ですか? A. マーシャル・ローゼンバーグ氏が提唱した、感情とニーズに焦点を当てて自分や他者と対話するためのコミュニケーションのアプローチです。当日は、感情を「身体感覚の反応」、ニーズを「その奥にある大切にしたいこと」として関連づける考え方が紹介されました。


Q. 摂食障害やトラウマがある人はNVCを学ぶとよいですか? A. 当日は私も含め、登壇者のみなさんが「NVCを通して感情やニーズに触れられるようになった」という体験を語りましたが、これは個人の体験談であり、NVCを学べば必ず症状が改善するというものではありません。摂食障害やトラウマの治療・回復方法については、医師や専門家にご相談の上、ご自身に合った方法を選んでいただくことをおすすめします。

Q. このオンライントークのアーカイブは見られますか? A. トラウマリカバリーカレッジ阿佐谷にて、他のオンライントークのアーカイブ配信情報が案内されています。詳細は主催団体の公式サイト・Peatixページをご確認ください。


おわりに

今回のトークでは、私だけでなく、他5名の登壇者もそれぞれの言葉で、NVCがもたらした変化を率直に語ってくださいました。生きづらさやトラウマからの回復は決して一直線ではありませんが、感情とニーズに丁寧に触れ続けることで、自分自身と、そして誰かとのつながりを取り戻していけるのだと、この会を通して改めて感じました。

貴重な機会をくださったトラウマリカバリーカレッジ阿佐ヶ谷の皆様、共に登壇した仲間の皆様、そしてルリラこと龍村ゆかりさん、白川美也子さん、水谷みつるさんに、心から感謝申し上げます。

今回のトークのアーカイブや、トラウマリカバリーカレッジの今後のプログラムについては、ぜひ主催団体の公式サイトをご確認ください。


本記事は個人の体験・感想に基づく活動報告であり、医学的な診断・治療を目的とした情報ではありません。心身の不調がある場合は、医師や専門機関にご相談ください。

この記事の信頼性について(執筆者情報)

本記事は、当日実際に登壇した大橋とも本人が、執筆しています。

  • 摂食障害・トラウマ・アディクションの当事者経験者
  • 元小学校教員
  • 現在は公認心理師として、SE(ソマティック・エクスペリエンシング)、MBRP(マインドフルネスに基づく再発予防プログラム)講師、AEDPレベル1セラピスト、BCTコアスキル修了の知見を活かし、摂食障害当事者・ご家族のサポートに従事
  • 著書:『我が子が摂食障害になったら読む本』

※本記事で語られる内容は、あくまで筆者個人の体験と感想です。摂食障害やトラウマからの回復方法には個人差があり、症状の診断・治療については医師・専門機関にご相談ください。

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