摂食障害のわが子の片づけ・金銭管理ができなくなる理由とは?

「片付けをしない」
「お金をきちんと管理できない」
「何回言っても私の話をきいてくれない」
摂食障害のお子さんを見ていて、そんなふうに感じたことはありませんか。
「このままで将来大丈夫なの?」と不安になり、つい手出し・口出しをしてしまう。細かく指示を出してしまって、そのたびにお子さんとの間に溝ができていく——。そんな悪循環に苦しんでいるお母さまは、決して少なくありません。

こんにちは。「親子過食卒業レッスン」を主催しております、公認心理師の大橋とも(オレンジ)です。私自身、25年間にわたって過食・過食嘔吐・拒食を経験し、回復してきました。今日は、専門知識と当事者としての実感の両方から、摂食障害のお子さんの「片付けられない」「お金の管理ができない」という悩みについてお話ししていきます。
「片付けができない」「お金の管理ができない」というご相談の多さ
摂食障害のお子さんをもつお母さまから日々ご相談をいただく中で、実はとても多いのが、こうした”日常の困りごと”です。
- ✔ 片付けができない
- ✔ お金の管理ができない
- ✔ 家族のルールを守れない
- ✔ 何度伝えても行動が変わらない
過食・拒食・過食嘔吐そのものよりも、こうした生活面の悩みのほうがつらいと感じる方は少なくありません。低体重の危険な時期を脱し、少し日常が戻ってきたからこそ、将来への不安が強くなるのは、とても自然なことなのです。
「だらしない行動」の背景にあるもの
脱ぎっぱなし、食べっぱなし、やりっぱなし。自分の好きなことだけはできるのに、「やるべきこと」が全然できない——そんな姿を見ると、「怠けているの?」「甘えているの?」「いい加減にしてほしい」と感じてしまうこともあるかもしれませんよね。
でも実は、これは「お子さんの性格の問題」ではなく、摂食障害による心のエネルギー不足が背景にあることがとても多いのです。
私たちの心と体は、赤モード(イライラ・不安・過食が出やすい状態)、青モード(シャットダウン・拒食に傾く状態)、緑モード(安心してコミュニケーションが取れる状態)の3つを行き来していると考えると、お子さんの様子が理解しやすくなります。食べること・体重・見た目への不安で心のエネルギーが大量に使われてしまうと、赤モードや青モードに傾きやすくなり、日常生活を送るための余力がほとんど残らなくなってしまうのです。
エネルギーが枯渇する3つの理由
- 心のエネルギーが食べること・体重・見た目の不安に使われてしまう
頭の中が常にその不安でいっぱいになり、片付けやお金の管理にまで意識が回らなくなります。 - 外の世界ですでに消耗しきっている
摂食障害のお子さんはとても繊細です。学校やバイト、友人関係などさまざまな場面で疲弊し、家に帰ってきた時点で体力の残量がありません。 - 症状が激しい時期ほど衝動的になりやすい
片付けや整理整頓、金銭管理が乱れることは、決して珍しいことではありません。安心が増えて症状が落ち着いてくると、衝動的な行動も少しずつ減り、生活面も自然と整いやすくなっていきます。
「片付けたいといけない」「ちゃんとしないと」——頭ではわかっていても、心も体も余裕がなくて行動に結びつかない。それは、困った子なのではなく、困っている子なのです。
とらえ方が変わると、関係性も変わっていく
実際に、こんな変化を感じたお母さまもいらっしゃいます。(承諾を得て個人が特定できない形で紹介させていただきます)
👩 あるお母さまの声

今までの私は、
食べたら食べっぱなし、
脱いだら脱ぎっぱなしの
娘の様子にイライラしていました。
摂食障害で過食してしまうのは仕方ないとしても、
せめて生活くらいはちゃんとしてほしい、と思って。
言うたびに「後でやる」「わかってる」と言われて、
言い争いになっていたんです。
そこから講座を受けて、考え方が変わりました。
「今、この子は外で学校やバイトを精一杯がんばっているんだ。家でだらしない姿をしているのは、それだけ家で素を出せるんだ。そのための環境を私は作っているんだ」
ととらえたら、
娘のお金の使いすぎや
服の脱ぎっぱなし、
食べっぱなしも前より気にならなくなりました。
「だらしない子」じゃなくて
「それだけ精一杯やっている子」という目で見ることで、
私が小言を言わなくなり、
家で娘と衝突することが減って、
親子関係がよくなりました。
娘も家で落ち着いて過ごすことが増えて、過食の回数も減ってきました。
こうした変化は、「行動を正すこと」よりも「お子さんが片づけられない背景を理解する」ことで心の安心を増やした結果、自然と起こってくることが多いです。
行動改善は、「心の安心」から始まる
「片付けしなさい!」と繰り返すよりも、まず優先したいのは、お子さんの心の土台を整えることです。
- ✔ 安心できる声かけをする
- ✔ 話を遮らずに聴く時間をつくる(耳・目・心で聴く「キャッチャー役」)
- ✔ お母さん自身のセルフケアを後回しにしない
片付けやお金のことを「注意する」のではなく、「こうしてもらえると助かる」というIメッセージ・要望として伝えることも、悪循環のループを断ち切る小さな一歩になります。こうした関わりを重ねることで、お子さんの心のエネルギーが少しずつ戻り、衝動的な行動も落ち着きやすくなっていきますよ。
💭 オレンジより
気になることはたくさんあると思いますが、すべてを「ちゃんとさせること」よりも、まずは家庭内の安心感を増やし、お子さんの心に余裕が戻ることをいちばん大切にしてみませんか。
まとめ
摂食障害のお子さんの「片付けられない」「お金の管理ができない」は、性格の問題ではなく、心のエネルギー不足のサインであることが多いものです。行動を正そうとする前に、まずは「摂食障害の心の仕組み」を知ることから始めてみてください。お子さんの行動の理由が見えやすくなり、「どう関わればいいのか」が自然とわかるようになります。そして何より、お母さん自身の心のエネルギーもチャージされていきます。
📘 書籍のご案内『わが子が摂食障害になったら読む本』

摂食障害の心のしくみ、回復のステップ、ご家族の関わり方などをまとめた一冊です。Amazon「ストレス・心の病気」部門で予約ランキング1位をいただきました(2026年5月25日出版)。
- ✔ 過食・拒食のお子さんに「してはいけない2大タブー」とは?
- ✔ 本人が病院に行きたがらないときの家族の声掛け
- ✔ 食費・治療費、お金はどこまで出していいの?
- ✔ 回復が進むためにお子さんから引き出したい「ある言葉」とは?
- ✔ 摂食障害のお子さん、ご家族の不安を和らげる100の方法
▼詳細&購入はこちらから▼
https://amzn.asia/d/03qIbdfv
「親子過食卒業レッスン」個別セッション・体験のご案内
お子さんとの関わり方に悩んだとき、一人で抱え込まなくて大丈夫です。グループ講座や個別セッションで、心の仕組みからじっくりお伝えしています。
▼体験セッション・お客様の声はこちら▼
https://orange-mindful.com/taiken260708/

コメント