摂食障害のお子さんが「食べられるようになる」ために、お母さんがまずすべきこと

摂食障害のお子さんが「食べられるようになる」ために、お母さんがまずすべきこと

わが子が拒食で、ほとんど食べてくれない。好物を作って出しても「いらない」と拒否される――。 このまま痩せてしまったら命に関わるのではないか、少しでも元気になってほしい。 そう悩みながら、この記事にたどり着いたお母さまも多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、お子さんが安心して食べられるようになるために いちばん大切なのは、お母さん自身が安心を取り戻すことです。 この記事では、摂食障害を専門とする公認心理師の立場から、その理由と、 今日から始められる具体的な一歩を解説します。


目次

この記事を書いている人

公認心理師・大橋とも(オレンジ)。摂食障害・過食症を専門に、親子カウンセリングと 「過食卒業レッスン」を主宰。自身も25年間にわたり過食に苦しんだ当事者経験を持ち、 我慢に頼らずに過食を卒業した実体験と、公認心理師としての専門知識の両方から 情報を発信している。


摂食障害の子どもへの対応で、なぜ「お母さんの安心」が重要なのか

子どもは、言葉よりもお母さんの「状態」を敏感に感じ取ります。 どれだけ優しい言葉をかけても、お母さん自身が不安や焦りを抱えたままだと、 その緊張感は表情や声のトーン、間の取り方を通して子どもに伝わってしまいます。

先日開催した親子過食卒業レッスンの講座でも、あるお母さんがこう話してくださいました。

「子どもを安心させようとしてきたけれど、私自身が不安なままでは、 それが伝わらないと気づきました」

摂食障害の回復支援においては、家族、特に母親が落ち着いた状態でいられることが、 子どもにとっての心理的な安全基地になるという考え方があります。 お母さんが安心を取り戻すことは、わが子の回復の土台づくりそのものなのです。

公認心理師の視点から補足

摂食障害は、単に「食べる・食べない」という行動の問題ではなく、 不安や自己否定感、コントロール感覚など、本人の内面と深く結びついています。 そのため、周囲が「食べさせよう」とすればするほど、本人はプレッシャーを感じ、 かえって食に対する抵抗が強まってしまうことも少なくありません。 まずは家庭の中に「安心して失敗できる空気」をつくることが、回復への第一歩になります。


よくある「自己批判」のパターンと、その奥にある本当の願い

摂食障害のお子さんを持つご家族には、次のような自己批判の声がよく聞かれます。

  • 「またできなかった…」
  • 「もっと頑張らなきゃ」

一見ネガティブに見えるこれらの言葉の奥には、実は切実な願いが隠れています。

  • 傷つきたくない
  • 失敗したくない
  • 家族を守りたい
  • 認めてもらいたい

大切なのは「自分を責めるのをやめよう」と無理に思うことではなく、 「なぜ自分はこんなに責めてしまうのだろう」と、その気持ちを優しく見つめることです。 自己批判の裏にある願いに気づいたとき、親子関係は少しずつ動き始めます。


お母さんが今日からできる、具体的な3つの一歩

  1. 自分を責める気持ちに気づく
    「またダメだった」と思った瞬間に、それに気づくだけで十分です。 気づくこと自体が、変化の始まりです。
  2. その気持ちの奥にある願いを探してみる
    「なぜ責めてしまうのか」を自分に問いかけてみましょう。 傷つきたくない、家族を守りたい――そんな願いが見えてくるはずです。
  3. 子どもとの会話で「聴き方」を変えてみる
    アドバイスや正論を伝える前に、まずは子どもの言葉をそのまま受け止める。 それだけで、子どもが話してくれる量が変わることがあります。

※お子さんの体重減少が急激な場合や、身体的な症状(めまい、動悸、月経の停止など)が 見られる場合は、上記の取り組みと並行して、必ず医療機関を受診してください。 心理的なサポートは医療的な治療の代わりにはなりません。


講座に参加されたお母さんたちの変化

実際に親子過食卒業レッスンに参加されたお母さんからは、こんな声をいただいています。

「娘が話してくれるようになりました」

「表面的な会話しかできていなかったと気づきました」

「聴き方を変えたら、娘が本音を話してくれました」

親子の関係は、「お母さんが変わる」ことで、静かに、でも確実に変わっていきます。


よくある質問

Q. 摂食障害の子どもに、無理にでも食べさせた方がいいですか?

A. 強制的に食べさせようとすることは、多くの場合、本人のプレッシャーや反発を強め、 かえって逆効果になることがあります。まずは安心できる関係性づくりを優先し、 食事の量や方法については医師や管理栄養士など医療専門職の指導のもとで判断することをおすすめします。

Q. 母親自身がカウンセリングを受ける必要はありますか?

A. 必須ではありませんが、お母さん自身が自分の不安や自己批判と向き合う場を持つことは、 子どもへの関わり方を変えるうえで非常に有効です。実際に、講座参加後に親子関係が 改善したという声を多くいただいています。

Q. どのタイミングで医療機関を受診すべきですか?

A. 急激な体重減少、めまいや動悸などの身体症状、月経不順・停止、 食事以外の場面でも強い不安や落ち込みが続く場合は、早めに医療機関(心療内科・精神科・ 小児科など)を受診してください。摂食障害は身体的なリスクを伴うことがあるため、 心理的サポートと医療的なケアを並行して行うことが重要です。


まとめ

摂食障害のお子さんが「食べられるようになる」ために、お母さんがまずすべきことは、 子どもを変えようとすることではなく、お母さん自身が安心を取り戻すことです。 自己批判の奥にある本当の願いに気づき、子どもとの「聴き方」を少しずつ変えていくことで、 親子関係は着実に変化していきます。

一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けながら、焦らず一歩ずつ進んでいきましょう。


この記事について(重要)

本記事は、公認心理師としての専門知識と、25年間の当事者としての実体験にもとづく 心理的サポートに関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療の 代替となるものではありません。摂食障害は身体的な合併症を伴うことがある疾患です。 症状に心当たりがある場合や、体調に急激な変化が見られる場合は、 自己判断せず、必ず医療機関(心療内科・精神科・小児科など)を受診してください。

著者プロフィール

大橋とも(オレンジ)
公認心理師。摂食障害・過食症専門カウンセラーとして、親子カウンセリングおよび 「過食卒業レッスン」を主宰。自身も25年間にわたり過食に苦しんだ当事者経験を持ち、 我慢に頼らずに過食を卒業した実体験と専門知識をあわせて発信している。 著書『わが子が〇〇になったら読む本』。

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